富士山に挑戦した話し④
7合目で仮眠を取り、下山の準備をしていたら、
朗報が飛びごんできた
なんとご来光が見えるかもしれないとのこと!
急いで外へ出てみると、
「あらまぁ〜綺麗〜山中湖と雲海とご来光が一望できるぅ〜」状態だった
山小屋の人からも、
「昨日今日で山頂行けた人はほとんどいないだろうし、ご来光も見れて君たちはラッキーだね、福岡から来た甲斐があったね♪」
的なことを言われて気分が上がった
気分が上がったままいそいそと下山をし、5合目に着いたのだが、どうやら様子がおかしい
つ、通行止めになってるーーー!!!!?!
5合目はなんというかもう霧?がすごくて、サイレントヒルの撮影中かな?ってくらい何にも見えない感じで、私たちと同様に下山できない外国人たちがわらわらと取り残されており、皆一様に死んだ魚の目をしていた
終末の日かと思った
本来ならば、5合目から高速バスを使って新宿まで帰れる予定だったが、5合目までの道路が雨の影響で通行止めになってしまい、全ての路線バス、車が迎えに来れない状況となっていた
「県が山に取り残された人たちのためにシャトルバスを出してくれるらしい」
との噂がまことしやかにささやかれていたが、それが一体何時にやってくるのか、果たして全員乗れるのか、本当に来てくれるのかが分からず、皆不安げに過ごしていた
一部の人は
バス停のところ(外、寒い、地面濡れてる)で並んで待っていたり
一部の人は
室内の休憩室(適温、椅子あり)で待っていたりと、
どこで待つのが最適解なのか誰も分かっておらず、
激しい心理戦が繰り広げられていた
私とばななっ仔は、いつ来るかも分からないバスを外で待つより、快適な室内でカップヌードルとおにぎりを食べる方を迷わず選んだ
ばななっ仔はポジティブかつタフなので、こういう状況下にもめっぽう強いので助かった
「これは、私が体験した出来事です。
社会人4年目の夏、友人と富士登山に出かけた時のことでした。
その日は、季節外れの台風が発生しており、5合目で足止めをくらっていました。
まさか、あんなことになるなんて、この時は予想もしていませんでした…」
などと
"怖い話し風語り口"
を披露してくれたりして、私を笑わせてくれた
そうこうしているうちに
遠方にバスが見えた
どうやら山梨県が助けにきてくれたらしい
「山梨県、ありがとうございます。初めて伺いましたが本当に大好きになりました。また機会があればお邪魔させて頂きますね。次は富士急ハイランドにでも」
と感謝の言葉を述べていたところ
あれ…?
え…?
バスって……1台だけ…?
何人取り残されてると思ってる…?
全員乗るには5台くらいは必要よ!?
ってな感じで、
1台のバスが来た
その瞬間
ザッと200人くらいが、
1台のバスに、群がって行く様子は、何と例えたらいいのでしょう、もうほんとに、
カオス、大混乱、滅茶苦茶、渾沌、大パニック、無秩序、錯乱、混迷って感じで
恐怖だった
山より怖いよ、人間の方が
ある者は
「私はバスを予約しててチケットをもってるんだ、乗る権利があるだろう!」と叫んでおり、
またある者は
「私は日本語が喋れるが漢字が読めない、行き先はなんて書いてあるんだ!!」と叫び、
礼儀正しい外国人は
丁寧に英語で私たちに状況を確認してくるが、私は状況も英語もわからないため、「同情します…困りましたね…」といった表情を浮かべて乗り切った
英語勉強しようと思った
そして私たちを含む気弱な日本人たちは、誰も乗り込めなかった
とりあえず、第2陣のバスを待つことになったのだが、立ってる位置的にもどうやら次のバスにも乗れそうになかった
荷物も重いし、寒いし、何より疲れていたので
「僕もう疲れたよ…疲れたろう…パトラッシュ…」とパトラッシュを呼びに行こうとしたその瞬間、
「2名だけ!!乗れます!!2名の方いませんか!!」と聞こえてきた
「ハイッ!!!ハイ!!!
こちら見まごうことなき2名です!!!!」
と、外国人たちの間を掻き分け、無事にバスに乗り込み、山梨県に救助して頂いた形で、麓まで下山できたのだった
__________________________________
とにかく色々あったが、こんなに疫病が流行ってる中、2人とも体調は究極的に良かったし、特筆するような怪我をしなかった点においては本当に幸運だった
(下山後に新大久保でカンジャンケジャン食べてアレルギー症状が出た時が1番ピンチだった)
富士登山を終えて人生観が変わった♪
ということは何もなかった
変わったことといえば、
こんがり焼けた肌の色と、
下山して1週間経つのに、まだなお身体が痛いことだ
(ねぇこれ一体いつ治るん?筋肉痛とかじゃなくて、もしかして痛めた感じ?怪我してないって言ったけど、怪我ですかね?どなたかお医者様はいらっしゃいませんか?)
振り返ると途中幾度となく
「おや…? 貧乏神の様子がなんか変だぞ???? ま、まさか…!!」
となった場面があったが、
力ずくでミニボンビーにしてやった
被害は最小である
ばななっ仔にとって、
今回こそは忘れたくても忘れられない富士登山にしてやるぞ!
と意気込んでいたが、
メアリー(台風8号)のおかげで図らずとも忘れられない富士登山となりました
ありがとう!メアリーとばななっ仔!